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大阪高等裁判所 昭和60年(わ)174号 判決 1985年3月20日

本店所在地

大阪市大正区平尾三丁目二二番一四号

有限会社 百万弗

右代表者取締役

佐藤益太郎

本籍

大阪府豊中市清風荘一丁目一〇八番地

住居

同市東豊中町三丁目八番一五号

佐藤益太郎

大正七年一〇月一〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官鞍元健伸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一、被告人有限会社百万弗を罰金五、〇〇〇万円に、被告人佐藤益太郎を懲役二年に各処する。

一、被告人佐藤益太郎に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社百万弗(以下「被告会社」という。)は、大阪市大正区平尾三丁目二二番一四号に本店を置き、パチンコ遊技場の経営等を目的とする資本金二〇〇万円の有限会社であり、被告人佐藤益太郎は、被告会社の代表者取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤益太郎は、同社社員佐藤信秀らと共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、公表経理上売上げの一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五五年一二月一日から同五六年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三、一四〇万三、九四一円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五七年二月一日、大阪市港区磯路三丁目二〇番一一号所在の所轄港税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は六、八九七万六、五〇四円でこれに対する法人税額は二、八三五万五、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額五、三七三万六〇〇円と右申告税額との差額二、六二一万二、七〇〇円を免れ、

第二  昭和五六年一二月一日から同五七年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五億四、一七五万一、七六〇円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五八年一月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億三、九五六万一、八五四円でこれに対する法人税額は一億二一七万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二億二、五八八万三〇〇円と右申告税額との差額一億二、六九一万七、五〇〇円を免れ、

第三  昭和五七年一二月一日から同五八年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億二、六一〇万二、四〇九円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五九年一月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億五、六一九万三、八二一円でこれに対する法人税額は六、五九八万六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億三、五二七万四、九〇〇円と右申告税額との差額七、一三五万八、六〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人佐藤益太郎の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する各供述調書

一、収税官吏の同被告人に対する各質問てん末書

一、安永輝好、和田千冲、岸本忠次、大森文雄、中森庄治、佐藤信秀、佐藤正信、佐藤純弘の検察官に対する各供述調書

一、収税官吏の越智定信、堺雄相、安永輝好、佐藤寿美江、佐藤美代子、和田千冲、中尾利美、小林光子、岸本忠次、佐藤みつ代、大森文雄、佐藤信秀、佐藤正信、佐藤純弘に対する各質問てん末書

一、佐藤信秀、佐藤純弘各作成の「確認書」と題する書面

一、収税官吏作成の各査察官調査書

一、被告会社作成の各法人税確定申告書謄本

一、大阪法務局登記官國本喜一作成の法人登記簿謄本

一、収税官吏作成の各脱税額計算書

(法令の適用)

被告人佐藤益太郎の判示各所為は、いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当し、所定刑中各懲役刑を選択し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人佐藤益太郎を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人佐藤益太郎の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上は、刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金五、〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 金山薫)

別紙(一)

修正貸借対照表

昭和56年11月30日現在

<省略>

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

昭和57年11月30日現在

<省略>

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

昭和58年11月30日現在

<省略>

<省略>

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